脊柱変形(背骨の曲がり)とは
背骨の曲がり、医学的に「脊柱変形」と呼ばれる状態は、正常な背骨の形や曲がり具合が変化することを指します。健康な背骨は、真横から見ると緩やかなS字カーブを描いていますが、脊柱変形が起こると、このカーブが過度に強くなったり、横方向に曲がったりします。
- 背中や腰の左右の高さが違う
- 肩の高さが左右で異なる
- 体を前に倒すと背中の隆起が目立つ
- 上半身が前かがみになる
- 腰が過度に反る
- 背中や腰に痛みを感じる
- 姿勢が悪い
- 身長が縮んだ気がする
- 呼吸が苦しくなる(重症の場合) など
上記の項目に心当たりがある場合は、脊柱変形が生じている可能性があります。
脊柱変形(背骨の曲がり)の原因となる病気

脊柱変形の原因となる病気には、以下のようなものが挙げられます。
脊柱側弯症
背骨が横方向に曲がってしまう病気です。主な症状として背中や腰の左右の高さが違う、肩の高さが左右で異なる、または体を前に倒すと背中の隆起が目立つなどが挙げられます。原因は多くの場合不明ですが、遺伝的な要因や成長期の姿勢の悪さなどが関係していると考えられています。放置すると、見た目の問題だけでなく、重症例では呼吸機能の低下や内臓の圧迫、慢性的な背部痛などを引き起こす可能性があります。
脊柱後弯症
背中が過度に丸くなる状態を指します。いわゆる「猫背」が重症化した形とも言えます。症状としては上半身が前かがみになり、顎が前に出てしまう、背中に痛みを感じるなどがあります。原因には、加齢による骨粗鬆症、姿勢の悪さの長期化、または先天的な要因などがあります。放置すると、背中や首の痛み、呼吸困難、消化器系の問題、さらには歩行困難に発展する可能性があります。
当院の治療
横浜市中区の山下公園スパインクリニックでは、脊柱変形に対して以下のような治療を行っています。
詳細な診断
レントゲン、CT・MRIなどの画像検査を行って、脊柱の状態を正確に診断します。また、体の歪みや筋力のバランスなども総合的に評価します。
保存的治療
理学療法
理学療法は、専門的なトレーニングを受けた理学療法士が行う運動療法です。背筋や腹筋の強化、姿勢改善、柔軟性の向上、バランス訓練が主な目的です。
装具療法
装具療法は、背骨の変形進行を防ぐために、外部から背骨を支える方法です。主な目的は脊柱の変形進行の予防、姿勢の矯正、痛みの軽減です。装具の種類や着用時間、期間は症状や変形の程度によって調整します。
薬物療法
薬物療法は、主に痛みのコントロールを目的として行います。使用する薬剤は症状の程度や患者さんの状態に応じて選択します。薬物療法を行う際は、患者さんの状態などをきちんと把握し、薬物による痛みのコントロールが本当に適しているかどうかを慎重に判断します。
手術
保存的治療で改善が見られない場合や、背骨の曲がりが中程度から重度の場合は、手術が検討されます。形が変わってしまった骨を削り、神経への圧迫を軽減・除去する「除圧術」や、骨や金属を使って背骨の形状を矯正・固定する「固定術」などの手術があります。
生活指導
日常生活での姿勢の改善方法や、自宅でできるストレッチ方法などをアドバイスします。
定期的な経過観察
治療効果を確認し、必要に応じて治療計画を調整します。特に成長期のお子様の場合は、変形の進行を注意深く観察し、体の成長への影響が生じないように配慮いたします。