頚椎椎弓形成術
頚椎椎弓形成術は、全身麻酔下で椎弓を切開し、人工の骨を挿入して脊柱管を広げる手術です。頚部脊柱管狭窄症や頚椎後縦靭帯骨化症などの患者さんに対して行われます。幾つかの術式がありますが、最も一般的に行われているのは片開き法です。首の後ろ側から皮膚を切開し、まず頚椎の後方(椎弓)に付着している筋肉を剥がします。そして、もう一方の椎弓にも切れ込みを入れ、人工骨を埋入します。これによって脊柱管が広がりますので、神経が圧迫している状態を改善することが出来ます。概ね7~10日程度の入院が必要となり、その後は2~3か月ほど通院して頂き、経過を見ていきます。
頚椎前方固定術
頚椎前方固定術では、首の前側から切開し、神経を圧迫している領域を治療します。脊椎手術の多くは後ろ側から行われるのですが、頚椎前方固定術は神経を圧迫している部位に近い前側からアプローチするため、原因となっている部分を直接取り除き、人工物を挿入することが出来ます。但し、首の前方には食道や頸動脈があるため、これらの器官が損傷するなどの合併症が起こるリスクがあります。
頚椎前方固定術を行う際には、十分な手術実績を有している専門医のもとで行うと良いでしょう。入院期間は4~5日程度です。その後の経過にもよりますが、退院してから3~12か月ほど通院して頂きます。
腰椎椎弓形成術
腰椎部分の椎弓を切除することによって神経の圧迫を和らげる手術です。腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアなどの患者さんに対してよく行われます。 腰椎椎弓形成術には、椎弓を広範囲にわたって切除して症状の改善を目指す「広範囲椎弓切除術」と、切除する部分を限定する「部分椎弓切除術」がありますので、患者さんの状態を見極めながら手術法を選択していきます。入院期間は5~7日程度が中心ですが、広範囲椎弓切除術の場合は長めになったり、さらに椎間固定術を併用することもあります。通院期間は概ね2~3か月となります。
後方椎体間固定術(TILF/PLIF)
後方椎体間固定術は、腰椎などの手術を行った後で、脊柱の安定性を確保するために行われます。腰椎の手術などで痛みが取り除かれたとしても、そのままの状態では脊柱が安定していないことがあります。そのような場合に、椎間板を切除して充填物を入れ、スクリューやロットで椎体をがっちり固定させるのです。椎間板を摘出した後で固定させる「後方椎体固定術(PLIF)」と、片側の椎間関節を切除して椎間板を切除する「片側侵入による椎体間固定術(TLIF)」があります。入院期間は10~12日程度であり、その後も24か月(2年)ほど通院して頂くケースが一般的です。
経皮的バルーン椎体後弯矯正術(BKP)
経皮的バルーン椎体後弯矯正術(BKP)は比較的に新しい治療法です。主として骨粗鬆症による椎体圧迫骨折の患者さんに行われます。エックス線透視しながら患部の位置を確認し、小さな筒を椎体に挿入します。そして、骨折している椎体内を修復し、形成された空間に骨セメントを注入して骨折部位を安定化させるわけです。これにより、比較的に低侵襲で痛みなどを取り除くことが出来ます。入院期間は2~3日程度であり、一般的には通院期間も1~2か月ほどで済みます。
腰椎側方椎体間固定術(XLIF)
腰椎側方椎体間固定術は、まず初めに側腹部を切開し、比較的に安全かつ低侵襲で行う脊椎手術の一つです。一般的な手術法の場合、後方から椎弓を削って神経の圧迫を取り除き、さらに神経をよけて椎間板にケージを挿入する必要があります。しかし、腰椎側方椎体間固定術ならば、骨を削る必要がなく、さらに従来よりも大きなケージを挿入することが出来ます。そのため、腰椎を安定化させやすく、神経の圧迫も解除しやすいのです。入院期間は7~14日、通院期間は3~12か月程度です。